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小説「海嶺」

月1回の読書会で、今 三浦綾子「泉への招待」を読みすすめている。

この冊子には 1971年から1983年に書かれた三浦綾子の大小十数編の随筆が

収められている。

 

その中の”潮の流れ”に書かれた内容が、小説「海嶺」を指しているのだという、読書会仲間の一言に触発されて、どんな小説?興味に惹かれて 図書館で借リた。

文庫本と単行本があり、

文庫本だと3冊に及ぶし、字が小さいので、読み難いと思い、

単行本にしたが、上巻下巻があり、1ページ2段の割り付け しかも やはり字が小さい。

 

返却期限までに読み切れるかと心配したが、読み始めると、夢中になって 一気に読んでしまった。

内容は 

天保3年(1832年)今の愛知県知多半島 熱田から千石船宝順丸が14人の乗務員を乗せ

江戸に向かって、出航したが,遠州灘で激しい嵐に。船は遭難。1年2か月漂流している間に、壊血病にかかったり、発狂するものも。生き残ったのは岩松、久吉、音吉の3人の若者。奇跡的に北アメリカに漂着したが・・・

史実に基づき、実在の人物がモデルになっているだけに、国々の情報もない時代、キリシタン弾圧、鎖国という国策に翻弄され、日本に到達しながら、上陸が、かなわなかった(受け入れてもらえなかった)3人の望郷の念がひしひしと伝わってくる。

 

編集後記にその後の3人が、外国で それぞれの人生を全うした旨が書かれており、

読み終えた後は感無量だった。